真冬ど真ん中でお湯が出ない
ある時、給湯器が壊れた。
1月の冬真っ只中の故障だった。お湯が出なくなったのだ。前日はお風呂にも入っていたため、この故障には驚いた。まさか壊れるだなんて! 異常に気付いたのは平日の朝、顔を洗おうとした時だった。
「? お湯出ぇへん……」
寝起きのためはっきりしない頭で、水が出続ける蛇口をぼーっと眺めていた。そのうちお湯が出てくるのではないかと待っていたのだ。当然お湯は出てこない。5分ぐらいそうしていたかもしれない。
とりあえず、お風呂場にある給湯器のリモコンを確認した。スイッチは入っていたが、変な記号が出ていた。なんだこれ。何でこんなのが出ているんだろう。一度電源を落とし、しばし待ってもう一度入れてみる。一瞬いつもの見慣れた文字が浮かんだが、また変な記号に変わった。無言で再度、電源を入れなおしたが変わらない。
エラーの原因が不明であるため、次にガスは出ているかキッチンでコンロを確認した。ガスは――出る。
給湯器の故障?
「ああ、給湯器が故障したんや」
とやっとその時理解したものだった。ガストラブルでなくてよかった、と一先ず安堵し、給湯器の説明書を探し出したが――原因はよくわからなかった。ん? 何か異常があるみたいだけど、コレコレこうしたら直る的な説明がない。よくわからない。もしかして、これ、自力で直らない系?
給湯器は高い。
確か、この壊れた給湯器は40万だか50万だかした覚えがある。
は? 40万!? とんでもない!
一気に目が覚めたものだった。しかしこの給湯器、結構まだ新しいのだ。少なくとも十年は使用していない。
その前の給湯器は15年以上動いていたため、それと比べたらまだ半分も使用していない。
まさか、まさか、まさか!
ウソでしょう!
驚天動地――とは言い過ぎだけど、それぐらい驚いて、パニックになっていた。なんせ給湯器は高い。
しかし、この真冬の今、水は冷たすぎて辛すぎる。
実際、顔を洗うだけで躊躇してしまう。